実践!心法書道⑤
中国で学んだ書の学び方をご紹介していきます。
「心法とは」をご一読いただいて①から順にご覧ください。
臨書二日目。
前回の記録と感想を読み、イメージして臨みます。一枚ずつ検証しながら進めていく流れをご紹介します。(「2-1」:臨書二日目の一枚目)
2-1
「化」はすっきりかけた気がする。「化」の四画目から「被」の二画目まで軽やかにと意識したが、「被」の偏の左への傾きが足りなかった。「被」のつくりの一画目も、もう少し右上がりだ。あとはまずまず。
2-2
「化」の人偏二画目、筆が紙に接触して下に引くのが早すぎた。穏やかにおいて引くべし。「化」のつくりはOK、といいたいところだが、四画目が三画目の左への力を受けて僅かに反ってしまった。この最終画は、三画目のエネルギーをいったん無にして、左方向への惰性に流されず飄逸に引くべし。一旦頭を真っ白にするというイメージで合っているのか?「化」はやはり「一画目から三画目まで」の流れを一呼吸おいて四画目で「化」を整えるというイメージか?
この部分に深く集中してみると、こんなイメージが湧いてきた。
彼は、他人と会話するとき、テンポよくノリよく話すというより、少し引いているのか?冷静なのか?さっと自分の本性に戻るというのか、絶妙な間を保ち、相手に強く影響されない。穏やかで、つかず離れず、かといってその場をしらけさせるような反感はかわず、自らも立てている、そんな気がした。
「被」のへんは2-1よりはいいが、二画目の開き具合、もう少し広く。つくりの一画目右上がりは改善。二画目の起筆、筆の入り方✕、もっと下から突き上げて入ること。中程のふくらみ、小さい、もっとふっくらと。最終画、若干ふくらみをつけてしまった、不要。
2-3
「化」人偏はうまくいった。つくり部分、三画目が縦になりすぎた。四画目を意識しすぎたため不注意。でも人間像が少しわかってきた気がする。
「被」のへんは前回よりはいい。つくりの四画目、やはりまだ傾斜が足りない。五画目の下からの突き上げは良くなり起筆部分、成功に近づく。中程の丸みは意識が届かなかった。最終画のまっすぐ抜く点は、すこし改善。
2-4
「化」だいぶまとまってきた感あり。つくりの三画目、ここはちょっと勢いに乗じてぽってりと太く書くべき。形はいいが、全部の筆画が同じ太さとなりのっぺりとした印象に落ち着いた。
「被」のへんはまだまだ。左への傾斜が足りないし、左下への筆画は飛び出しすぎ。「被」の二画目までは、軽やかに楽しく、という気分で書いているとつい乗じてしまい、左払いが長くなってしまうが、彼はつつましい。つくりは良くなったが、五画目のふくらみ部分、なめらかになりすぎた。直線から曲線にいく節をきちんと残すこと。丸みを意識したら直線からの流れがあやふやになってしまった。
そうだ、懐素は直線と曲線の魔術師、自叙帖を思い起こしてはっとする。
2-5
「化」三画目の加減、良くなったが最終画、力を入れすぎ、長さも控えめにすること。
「被」へんは良くなったが、つくりがだめ。五画目、直線から曲線への節部分、意識しすぎてふくらみが減り、長くなり過ぎた。この切り替え部分が課題。ふくらみが出ることで字の中心部、へんとつくりの間の空間が広々してくる。そうか、空間を囲い込むような包容力が必要。そうすれば字もすかっと明るくなる。枯淡なあじわいながら、ここは明るい。
2-6
「化」つくり、きゅっとせまっ苦しくなった。最終画のゆったり感が乏しい。
「被」へんは改善。つくり、ふくらみを意識しすぎたか?わずかに大きくなり過ぎた。つくり、四画目が少し長い。上を狭く下を広く、末広がりに。
2-7
「化」ゆったり感は少し戻ったが、全体的にエネルギーが弱い、疲れたか?
「被」へんはいいが、つくり部分四画目上すぎ、かつ細くなりすぎ、しっかりひかなくては。三画目、四画目はおおむね良し。
2-8
「化」少しまのびした感あり。最終画の引き締めが弱いかも。
「被」動きが出てきて生命力を感じる。いいじゃないか。が、二画目のうねりはおさえよう。ここは直線でスパッとひくこと、くねくねしない。ここでも気分に乗ぜず、すっきり素に戻る感じ。二ヶ所墨の飛び出しは滲みをおさえた時のもの、問題なし。
2-9
いい。少し小さくなったと感じたが、字間の空間を考えるとこのくらいがいい。
「化」最終画、エネルギーがもう少し欲しいところだが、四つの画がつかず離れずの感覚はいい。
「被」動きがありながらも、乗じすぎないスタンスができつつある。傾き、勢い共に今日一番いいかも。
<今日の感想>
最後にそれなりに納得がいく一枚になると落ち着くし、書きたい欲を残して終わることは気分がいい。今日の気づきは、彼はあまりくねくねとした線表現をしないことだ。つまり飾りっけがない。太い細いの表現はあるが、基本的に率直な性格なのだろう。くねくねとした字を書く人は、実は苦手だ。
0コメント