実践!心法書道④
中国で学んだ書の学び方をご紹介していきます。
「心法とは」をご一読いただいて①から順にご覧ください。
懐素の「草書千字文」の中から、「化被草木 頼及萬方」をひとかたまりとして、まず「化被」の二文字に注目していくことに決まりました。
それでは、今日から実際に臨書していきます。
全く同じように書くことを目指します。うりふたつがゴール。
一日書く量はMAX9枚です。
一枚目、初めに感じた懐素の人柄のイメージを頭の中でおさらいして、手本を見て全体の雰囲気を感じて、頭を真っ白にし挑みます。
雰囲気を素直に感じて書いた一枚目。
一枚書いたら、必ず手本と見比べます。結構いいかも?と思いましたが、全然違いますね。
では詳細に見ていきましょう。
全体の印象、おおらかな感じは出たが、なんか野暮っくなってしまいました。
「化」
一画目、起筆がまず違う。筆を置いたら打ち込みを作らず書き進めているのに、小さく打ち込みがついてしまった。また払い出し、私はスパッとふり抜いてしまったが、彼はさほど勢いは付けず、ふわっと抜いている。その方向はくるんと上に上がって二画目につなげるというよりは穏やかに左下に抜いて、つまり旋回はせずすぐと右横に移動し二画目に入っている。
二画目、やや短くなってしまったのと、まっすぐ下に向かってしまったが、彼はやや一画目の左下への方向への力を受けて左下へ流れて止まっている。
三画目、ぽってりとした雰囲気はまずまずだが、書き始めが上すぎ、人偏の一画目より下でないといけないのにほぼ揃ってしまっている。
四画目、三画目の書き始めが上過ぎたために四画目の書き始めも上に行き過ぎた。起筆から曲がる部分にかけて少し反ってしまった。彼は反っていない。曲がる角度はいい、終筆の次の字へ向かう抜きも悪くない。
「被」
一画目の点、まあいいだろう。
二画目も一枚目にしては角度や長さはまあいいが、線質のシャープさが欲しいところ。
三画目、太さ力加減はまずまずだが、ちょっと傾いてしまった。
四画目、起筆が上に行き過ぎ、そして右上がりの角度もかなり鈍くなり、間延びしてしまった。
五画目、起筆の入り方、方向、直線から曲線へ移る角度や力加減、曲線から左下への払い、なかなかうまくいったと思う。
六画目、起筆のシャープさがいまひとつ。角度は良さそうだが、線全体を僅かに下げたほうがよかったかもしれない。
このように、一枚書いたら全体の印象や、一画一画の出来不出来を検証する。私自身の経験から言うと、初めのうちはこのように違うところを検証したら言葉にしてメモに残すようにすると良い。一旦言葉にすることで、明確に脳に印象付けられ注意が働きやすいです。
たかが一画、されど一画。
ひとつの筆画には、起筆(書き始め)、送筆(書いている途中)、終筆(書き終わり)がある。その各部分をつぶさに見て、どうしたら手本と同じになるのか、筆の特性を考えながら試行錯誤していく。
起筆はどう入り、どの方向にどの角度でどの辺まで書くか?その強さは?一画目の終筆から空中をどう動いて二画目に入るのか?その入る角度は?といった具合に。
一日たった9枚まで?と思われたかもしれませんが、このように、一枚一枚検証を繰り返しての9枚です。丁寧に時間をとって書いていきます。こちらが本日書いた9枚。
<一日目の感想>
一枚目、パッと見ていいな、好きだなと思った雰囲気を素直に感じて書いた。意外といいじゃないかと思ったが、詳細に見れていなかっただけのようだ。二枚目からは、どこか一部分の細かな部分に気を取られて、どこかは似ても全体のイメージが損なわれたり他の部分が違ってきたりした気がします。9枚目で何とか少し雰囲気を掴み直せたかな、だといいが、、、という感じ。しかし、彼はもっと素朴で気負いせず楽しく書いているように感じます。深層心理が違うので、まだ楽に書くには無理があるのは仕方がない。「化」は人偏とつくりなので、気脈としては二画目と三画目でいったん切れているのかと思ったが、もしかすると三画目までひとつの流れというかテンションで書いて、四画目になって一旦心をリセットしているのかもしれないと感じた。また、「被」はへんの二画目までは軽やかにリズムよく楽しい気分でと意識したが、楽しめなかった。次の三画目で気持ちの立て直し?けじめ?をつけて切り替えているように感じた。そして丁寧に次画へと運び、最後ゆったりと。
できるかぎりこれを毎日やるわけですが、体調が悪いとか、出張で書く環境にないとか、どうしても書けない日もあることでしょう。そういう日は、できる限り見る時間を確保しましょう。
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