書きやすさと書きにくさ 心法ここがポイント!
ようやくある程度納得できる一枚が書けたところで、確認しておきたいことがあります。
全く同じように書くことを目標にしているわけですが、書きやすい部分と書きにくい部分、あまり意識しなくてもだいたい似せて書けるところと、意識しないとすぐ離れてしまうところがある、その違いは何か?
それは書きやすいところは私と懐素が似ている部分で、書きにくいところは私と懐素が似ていない、かけ離れた部分だということ。
どんな性格で、どんな心境で、どんなテンションで書くかによって、一画の線ですらその表情は変わります。どんな人がどんな心理状態でどんな気持ちでで書いたのか、その息づかいまで正確に感じ取って、正確に再現しようと試みる、の繰り返し。たった二文字ですが、そう簡単ではありません。私が中国で初めて学んだときは、最初の三ヶ月間、一文字だけを書いていきます、と師に言われうちのめされたのを思い出します。
ただ、もちろん厳密にいうと全く同じというのはありえないわけで、できうる範囲で限りなく近づけようと試行錯誤するわけですが、形、角度、太さなどだけでなく、仕上がった作品の放つ雰囲気や佇まいまで似せることは至難です。
しかしその試行錯誤が大事で、そうすることで自分との共通点、相違点が明確になってきます。それがわからなければ、自分を書き手と同じレベルに引き上げることはできません。焦りは禁物、わかったことにして進めても意味がなく、自分の中で腑に落ちたことだけが身になります。
大変ですが、好きな字だと、「さぁ、今日も頑張ろう」と思えるのが不思議です。
0コメント