墨の威力

筆の洗い方、どうされていますか?

私のやり方をご紹介します。


普段は、使ったら流水で大まかな墨を落とし、指で根元をもみ筆管に入り込んだ墨を引き出します。ほとんど出なくなったら、写真のようにビンに筆の三分の一くらいがつかるように吊るし、しばらく待ちます。そうすると穂先からすーっと墨が下へ落ちてきます。30分くらいは最低置くでしょうか、その後また流水で根元を指で軽くほぐし、穂先を整え、ティッシュで軽く水分を吸わせ吊るして乾燥させます。

同じ筆を毎日使うより、何本かをローテーションで使うほうが長持ちするといわれます。洗った後、毛を乾かせたとしても、筆管の中の毛まで乾ききるには二、三日かかるそうです。その部分の水分がずっとある状態だとカビなどの原因になるとか。

それを知ってから、なるべく毎日同じ筆を使わないようにしています。


人によってはお気に入りの同じものを数本買って、それを順に使う方もいるでしょうが、私は気に入ると何本か購入しておきますが、同じ筆のローテーションではなく、違うお気に入りの筆をその日の気分によって使っています。


最近臨書には羊毛を好んで使いますが、生徒さんの手本や創作となるといろんな筆を使い分けるため一日に何本も使うことは少なくありません。

ですから、一日何本も洗うことになるわけですが、ここには結構心血を注いでいます。

ひたすら筆を丁寧に洗う、あまりに当然でシンプルなことですが、きちっとやるととても気分がいいものです。

筆を洗い忘れるということは、歯磨きを忘れるのと匹敵するほど、まずありません。



普段の洗いで十分筆は長持ちしていると自負していますが、時々やりたくなるのが一斉丹念洗い。毎回きっちり落としているつもりが、やはり墨って残っているものなんです。

現在発見されている木簡は、酸素が入らない水の中に長年埋まっていたため腐食をまぬがれたそうですが、その木片の泥水をきれいに洗い流しても墨跡は木材に定着したまま今でも見ることができるのです。


墨の粒子というのは驚異的ですね!

心法書道

人は自然の一部 自らがよりよく成長するためには 大自然の理を理解することが大切です 世界の調和の第一歩は 自らの世界が調和すること 書道はそれを可能にするとてつもない芸術です

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