書道講義③ 書体のあれこれ

今回は書体についてのお話です。

まだ楷書しか習っていない子どもたちに、たったの30分で篆書、隷書、草書、行書、楷書の5書体とその変遷について語ることは、さすがに無謀な挑戦でしたが、やってみました。


私「たとえば『山』って漢字が、東京と神奈川と埼玉と千葉で違ってたらどう思う?」

子どもたち「えー、そんなのへんだよ、だってこまるじゃん!」

私「そう、そうなの、困るよね。同じじゃないと話が通じない。」


古代中国において初めて国家を統一した秦、自らを始皇帝と名乗ったその人物は、中国史上初めて文字の統一を果たしました。公式な書体として定めたその文字を小篆といいます。中国という広大な国土においてそれらをまとめるということは、とてつもない事業だったことでしょう。

篆書(小篆) 泰山刻石


私「というわけで文字を統一したんだけど、それがこんな字です。」

子どもたち「ふーーーん、よく見えない、なんか書くのたいへんそう。」

私「そう、大変そうでしょ、こんなの普段から書いてられないじゃない?昔の人もそうで、普段はもっと早く書ける隷書っていう書体で書いてたらしいの。」


日常の様々な記録に使用していた木簡や竹簡などには、軽快にリズムよく書くために生まれた筆勢なのでしょうか、左払い、右払い、横線などに波磔といわれる書きぶりが見て取れます。

そして公式書体とは別に、実用書体として隷書は完成されていきます。

隷書の一例 乙瑛碑

子どもたち「なんか、先っちょがぴよーんと出てる。」

私「そう、それが隷書の大きな特徴だよ。」


そして草書や行書は楷書から派生したと思われがちですが、ざっくりいうと草書も行書も楷書も、実はすべてこの隷書から生まれた書体です。やはり文字というのは、日常使う者たちが創り上げていくものなのですね。当然ながら紙の普及とともに、文字の表現はますます豊かになっていきます。

実際、草書と行書の境界線をはっきり説明するのは難しいですね。子どもたちには、読める程度につづけた文字は行書、読めないのは草書と説明。


子どもたちはクイズが大好き。

中国書道大字典から、『竹』、『谷』、『行』の漢字を選び、一字一字のその書きぶりがどの書体になるのか当てっこです。

たった30分で、5書体の見分け方を習得、なんとか目標達成です。

最後に子どもたちの名前を5書体で書いたものをプレゼント。お迎えに来たお母さんにうれしそうに見せていました、かわいい。

さて、次はなにしよう。。。


心法書道では、お子さんの書写技能を向上させるだけでなく、悠久の書の世界を感じていただきたく様々なテーマでお話をしています。

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人は自然の一部 自らがよりよく成長するためには 大自然の理を理解することが大切です 世界の調和の第一歩は 自らの世界が調和すること 書道はそれを可能にするとてつもない芸術です

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